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バタフライ・エフェクト(蝶の力学)

先回は、民話「わらしべ長者」を題材にキャリア形成の考え方をお伝えしました。今回は、まだ人生経験の乏しく、遠い先の将来について微塵も考えていない若いころの何気ない(深く考えていない)小さな判断が、将来のキャリアに大きく影響を及ぼすという考えをお話しします。些細な事象が巡り巡って大きな事象を引き起こすことを「バタフライ・エフェクト(蝶の力学)」と呼ばれています。「蝶の羽ばたきが遠く離れた場所での天候を変える可能性がある」という理論で、微小な初期条件が将来的に大きな変化を引き寄せるという意味です。


同様に、キャリアの初期段階で下す小さな決断、例えば学ぶべきスキルの選択、最初の職場やプロジェクトの選択、あるいは人間関係の構築といった行動が、キャリア全体の流れを大きく変える可能性があります。


スキル選択の例として、若いエンジニアが、最初に学ぶべきプログラミング言語としてPythonを選ぶか、Cobolを選ぶかでその後が大きく変わってきます。この選択は、一見単純なスキルの習得に過ぎないように思いますが、PythonはAIや機械学習などの分野で広く使われているため、今後拡大していく分野で活用でき、このスキルがその後のキャリアに多大な影響を考慮する可能性があります。一方、Cobolは、やはり過去の言語であることは否めません。活躍する場が拡大する可能性は低いと言えます。この選択一つで自身が今後キャリア形成していく世界が決まるのです。一概にこの選択だけでキャリアの良し悪しは決められませんが、進む方向が定まるという点では将来に影響を及ぼすのです。


最初の職場やプロジェクトの選択の例としては、ある学生が、スタートアップ企業での就職を選んだ場合、大手企業の堅い業務経験を積むことはなく、スタートアップでは多様な業務に関わる機会があり、初期段階で一連のスキルセットや問題解決能力を身につけることができる可能性があります。これにより、その後のキャリアでリーダーシップポジションに就くチャンスが増え、キャリアのスピードや方向性が大きく変わることになります。


人間関係の構築の例としては、キャリアの初期段階では、キャリア(技術・業務)が浅く、関わるステークホルダも同レベルの人たちに限られてくる傾向があります。キャリアを積むことで自身のレベルが上がり、関わるステークホルダのレイアも上がってきます。そうなると、関わるフィールドを広げる活動を行うか行わないかで、人間関係を広げられるかが決まってきます。また、誠実に仕事に向かうことが評価され、信頼を得ることが人間関係を広げるきっかけにもなります。また、イベントで知り合った人の脈動が、その後のキャリアチェンジや起業の際に大きな支援者となることもあります。




このように、キャリアの初期段階での小さな決断や行動が、後々のキャリアに大きな影響を考慮する可能性があるため、慎重に選択し、計画的に進めることが重要です。小さなものに見えるかも知れませんが、バタフライ・エフェクトのように、大きな違いを生みます。

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